本日のマーケット
7月 8日(木) | 前日終値 | 増減 | ||
日経平均 | 円 | 28,118.03 | 28,366.95 | -248.92 |
為替 | 円/ドル | 109.83 | 110.65 | -0.82 |
NYダウ | ドル | 34,681.79 | 34,577.37 | 104.42 |
今日の東京株式市場は、続落となりました。ネット分野への規制強化が報じられた中国・香港株式市場が下がったことと、東京都への4回目の緊急事態宣言発令方針の報により、ネガティブに反応したようです。
役職定年でやる気も給料も3割カット
役職定年というのは、企業の従業員が一定の年齢に達すると自動的にラインの管理職から外される制度のことであり、それに伴って給与水準が何割か削減されるのが通例です。
人事院の調査によると、大手では1980年代以前から導入した企業もありますが、①おおむね1980年代から行われた55歳定年制から60歳定年制への移行に際して、主に「組織の新陳代謝・活性化の維持」「人件費の増加の抑制」などの狙いで導入されたケースと、②90年代以降に「職員構成の高齢化に伴うポスト不足の解消」などの狙いから導入されたケースの2つが多いのだといいます。
経団連が236社・団体を対象として2015年5~6月に実施し、翌16年5月の報告書で明らかにした調査結果によると、役職定年制の導入割合は48.3%で、うち3.3%が廃止を検討。14.2%は実際に廃止したそうです。一方、この制度の導入を検討している先が5.8%もあるとのことです。
実感する「役職定年」の深刻さ
「制度を廃止した」「廃止を検討している」場合の理由(複数回答)で最も多かったのは、「年齢にかかわらず意欲・能力のある人材に管理職として活躍し続けてもらうため」(71.4%)です。以下、「仕事・役割・貢献度等の変化に応じ、随時ポストの見直しを行う人事制度を導入したため」(38.1%)、「役職定年後にモチベーションが低下する従業員が多かったため」(23.8%)などが続いています。
では、何歳になると役職定年に「引っかかる」のでしょうか。上記の経団連の調査によると、最も多かったのは55歳(17社)で、次が57歳(14社)。最低年齢が52歳(1社)で、最高が63歳(1社)だそうです。金融機関やメーカーでは53~55歳が多いようで、冴えない働かないおじさんも55歳で役職定年になりました。
この役職定年はかなり深刻で、従来と同じ仕事を続けており、相応に実績を上げ続けているにもかかわらず、役職定年の年齢に達すると、十把ひとからげにポストはく奪・賃金カットという「処分」に直面してしまうのです。子どもが大学を出て就職していればダメージは軽いが、まだ長男が理系の大学に在学中で、しかも大学院志望だったりすると、家計の今後の資金繰りは重大な問題になってきます。奥さんに働きに出てもらったり、スマホを格安SIMに変えなければと慣れない手続きを冷や汗たらしながら進めたりという、苦難の日々に突入するのです。
そうした会社の人事給与制度を事前にきちんと考えた上で人生設計すべきだったのでは、という声もあるでしょうが、いざこのような場面に直面すると、なかなか思った通り、考えた通りには進まないのが、現実の人生ですね。
コロナ禍も続いておりオンラインが中心という異例の状況であるにもかかわらず、新規学卒者の就活は今年も順調に進んでいるようです。日本の人口構成上、少子化の進行で若年層の絶対数が少ないことが、一番の理由だと考えます。このため、初任給の引き上げが多くの業界で進んでおり、明るいニュースとして取り上げられることもあります。そして入社後早々に退職されては困るので、若手さらには30代前半の賃金面の処遇を手厚くする、こっぴどく叱らずにできるだけ優しく対応するといった、会社側の対応策もよく耳にします。
だが、内外の株主によるコスト抑制面を含むチェックの目が厳しい中で、賃金のいずれかの部分を手厚くすれば、どこか別の部分を削る必要が生じます。その削減のターゲットになるのは言うまでもなく、賃金水準が相対的に高い上に、加齢による生産性低下リスクを帯びているとみられがちな、中高年の社員(働かないおじさん)だと思います。
そしてさらに言えば、将来的なポテンシャリティーは明らかに若手社員の方が大きいし、生産性や社会の状況変化への適応能力などが加齢によって低下していく可能性は相応に高いのですから、中高年よりも若手の処遇を厚くする方向で賃金政策を調整していくのは理にかなっている、というのもうなずけます。
戦力は多いに越したことはない
そうした将来を重視する考え方を否定するつもりはありません。けれども、戦力は多いに越したことはないですよね。ノウハウに加えてやる気があるシニア層の社員は、若手を育てあげる上でも大きな力になるはずと信じています。年を重ねるのが罪であるかのような、年齢を基準にした機械的な対応は、望ましくないように思います。
本当に十把ひとからげに「年齢」という区切りで給与などの処遇をほぼ一律に変える役職定年という制度は、そうした硬直的な雇用慣行に沿っており、旧態依然たるものではないかと思っています。
少子高齢化が着実に進む中であり、シニア層の労働者をうまく活用する必要性から、そうした廃止の動きが着実に広がるのではないかと内心期待していました。しかし、現実社会はあまりそうした方向には動いてきていないのがとても残念です。
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