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50代シンドローム 働かない”妖精”おじさんの「70歳就業法」

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本日のマーケット

  11月 12日(金)前日終値増減
日経平均29,609.9729,277.86332.11
為替円/ドル113.95114.05-0.10
NYダウドル35,921.2336,079.94-158.71

 今日の東京株式市場は、昨日の反発に続けて続伸となりました。背景には、米国のNSADAQ総合指数とフィラデルフィア半導体株指数が上昇したこととや来週末の日本政府の経済対策に対する期待が広がったことにあるようです。

50代シンドロームに陥っているバブル入社組の働かないおじさん

 再雇用制度を実際に受け入れた人の話では、「労働時間は変わらないのに月給が10分の1になった」という声も聞きます。60歳での再雇用となれば、非正規雇用者になるのは常ですし、正社員に比べて、ぐっと給与が下がるのは当然ですね。まだ子どもが大学生くらいだったり、住宅ローンが残っている人は大問題です。

 さらに加えて、再雇用の段階でモチベーションが大きく下がる人が急激に増える傾向があります。役職がなくなることは給与が下がるだけではなく、権限もなくなるし、社内外でのプレゼンスが大幅に下がることから当然と言えば当然ですね。このように50代を迎えるおじさんたちがモチベーションを下げることを「50代シンドローム」と呼ぶそうです。

 50代くらいになると、出世競争でトップ経営層のイス取りゲームからあぶれた人たちがほぼ明確になりますね。同時に、役職がなくなる役職定年や出向、あるいは後方支援といっていいようなネガティブな配置転換も許容しなければなりません。ただでさえ、年をとると環境の変化に柔軟に対応できなくなるのに、仕事環境をガラリと変えられ、しかも世間的には格下げの様相を呈すのは、プライドが高い人ほどきつく、つらいです。それまで「課長」「部長」と呼ばれていた立場が、突然平社員になり「さん」づけだけになってしまう、そうすると違和感と戸惑いを覚える人も少なくないとおもいます。

 そして今現在、退職を前に配置転換などの真っ只中で、まさに50代シンドローム状態に陥っている人といえば、1986〜1991年のバブル期に入社したバブル世代(1965〜1970年頃生まれ)に当たります。当時の好景気にかまけて大量に雇用され、また年功序列が残っていた頃に入った彼らおじさん達は、今や会社にいる最も大きなボリュームゾーンで、給与もプライドも高い世代です。このボリュームゾーンがやる気をなくして生産性を下げたら、各企業にも、社会にとっても大きな損失となります。

「70歳就業法」の国の思惑と企業の悲鳴

 実はその対策としても期待されて導入されたのが「70歳就業法」と言われています。そもそも55歳定年だったところを、2013年の改正高年齢者雇用安定法で60歳までに延長し、65歳までの再雇用という道筋を立て、さらに「70歳就業法」でそれを5歳上までスライドさせました。

 しかし、この制度は美しく回っていません。70歳まで定年を引き延ばしたり、定年制を廃止するなどしたら、ただでさえ追い出したい高給取りで伸びしろを期待できないシニア社員を長く残すことになります。それでは厳しい企業間競争に勝てない、当然、形式定年に当たる60歳(定年60歳は改正法でも変わらない)で解雇し、再契約によってぐっと給与を下げるという、人件費の抑制の方向に会社の力が向くのは当然だと思います。

 この70歳定年法の中で企業が狙っているのが、「業務委託契約」と「社会貢献事業への従事」にあると思われます。「業務委託契約」はもはや雇用ではなく、これまで務めていた会社からフリーランスとなって、仕事だけを受注する形になるものです。「社会貢献事業への従事」も同様に、「事業主自らが実施する」か「事業主が委託、出資(資金提供)などをする団体がおこなう」社会貢献事業への転籍を意味しますので、やはり会社の雇用からは外れるのです。
 この2つに関しては、会社にとっては給料の支給がなくなるうえ、労働管理のコストもなくなる。さらには社会保険のコストもなくなるので、いかにも魅力的な選択肢とみえますね。

 繰り返し言いますが、企業は売り上げ・利益を上げ続け、ステークホルダーの期待に応えることが至上命題です。できるだけシニア世代に活躍してほしいと本気で思っているとは思えません。そんな時間と金があるならば、若い世代に投資したいのが本音です。

 定年後研究所が2019年に実施した調査からも中高年に対する扱いはきつい実態がわかります。
 「モチベーションアップ、創造性開発、自己発見、自己啓発などに資する研修」を実施していると解答した企業は48.1%にのぼるそうですが、そうした研修のなかで「50代以上の社員を対象に実施している」のはわずか6%に過ぎなかったとのことです。ほとんどが「男性の新人・若手・幹部候補社員を対象に実施している」(42.8%)なのだそうです。

 定年が55歳だったら、「このおじさんは今まで充分会社に貢献してくれたし、あと10年程度ならは役に立たなくても面倒はみられる」と考えられたし、余裕もありました。しかし、余裕がなくなった今の日本企業が「70歳まで働かせろ? あと25年も体力、知力の落ちた働かないおじさん社員を置いてなんていられない!」と考えるのは極めて自然なことですね。企業は”働かないおじさん”を意識的に追い出しのために努力をはじめるに違いない、そしてその結果として早期退職制度は目に見えて増えてくるのは必須だと思われます。

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