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還暦からの英語学習 外伝 〜還暦の新入社員が知った「適応疲労」という言葉

英語学習

還暦の新入社員

還暦を過ぎてから、新入社員になるとは思わなかった。4月30日、突然の子会社出向の内示を受けた。しかも赴任先は東京。単身赴任である。

これまで私は製造部門の教育係として、教育の仕組みづくりや教材作成に携わってきた。再雇用という立場としては理想的な仕事だったと思う。その傍らで、英語学習を続け、哲学書を読み、ブログを書きながら、退職後の人生設計を少しずつ形にしていた。

そして今、私は新しい職場で新しい生活を始めている。赴任して二週間。まだ右も左も分からない。

そんな中で、自分でも予想していなかった形で変化の大きさを実感することになった。

土曜日の朝に感じた異変

赴任して二週間。その変化の大きさを実感したのは、意外にも土曜日の朝だった。その日はゴルフの予定が入っていた。目が覚めた瞬間、違和感があった。疲れている。十分眠ったはずなのに、身体が重い。以前ならゴルフの日は自然と早起きできた。遠足前の子どものように気持ちが高揚していたものだ。

しかしその日は違った。布団の中でしばらく天井を見つめながら考えた。「今日は最後まで体力が持つだろうか」そんなことを考えながら起き上がった。

ゴルフ場で気づいたこと

ゴルフ場へ向かう車の中で、この二週間を振り返っていた。毎日20時近くまでの勤務。慣れない経理業務。総務の仕事。新しい職場の人間関係。そして単身赴任の生活。振り返れば、生活のほぼすべてが変わっていた。

ラウンドが始まった。ドライバーを振る。アイアンを打つ。歩く。いつもと同じことをしているはずなのに、妙に疲れる。集中力も長続きしない。昼食を食べる頃には、一日働いた後のような疲労感があった。ゴルフは本来、私にとって気分転換だった。

ところがその日は違った。リフレッシュしに来たはずなのに、さらに疲れて帰宅することになったのである。

適応疲労という言葉

帰宅後、ふと思った。「体力が落ちたのだろうか」「年齢のせいなのだろうか」しかし、どこか腑に落ちなかった。そんな時に知ったのが、「適応疲労」という言葉だった。

人は新しい環境に適応しようとするとき、想像以上のエネルギーを消費するらしい。新しい職場。新しい人間関係。新しい仕事。新しい生活。これまで無意識にできていたことが、すべて意識的な判断になる。誰に聞けばいいのか。どの手順で進めればいいのか。何を優先すればいいのか。その一つひとつに脳のエネルギーが使われる。

なるほどと思った。疲れているのは、怠けているからではない。体力が急激に衰えたからでもない。新しい環境を学習しているから疲れているのだ。そう考えると、土曜日の朝に疲れが抜けていなかったことも説明がつく。

今月のKPIは生き残ること

私はこれまで、英語学習や読書、ブログ執筆を通じて前進することを大切にしてきた。しかし今は違う。今の最優先課題は成長ではなく適応だ。ロックハンマー思想で言えば、今は壁を掘り進める時期ではない。新しい坑道の地図を書いている時期である。地図を書いている間は、前進していないように見える。しかし、その作業がなければ安全に掘り進むことはできない。だから今月のKPIを決めた。英語学習の時間ではない。ゴルフのスコアでもない。ブログの更新回数でもない。

まずは生き残ること。毎週きちんと出勤し、新しい生活のリズムを身体に覚えさせること。土曜日の朝に疲れが残っていてもいい。今は適応の季節なのだから。

ロックハンマーは焦らない。壁を壊すのではなく、今日も静かに一打を積み重ねる。その先に、新しい坑道が開けることを信じながら。

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