本日のマーケット
5月 20日(木) | 前日終値 | 増減 | ||
日経平均 | 円 | 28,098.25 | 28,044.45 | 53.80 |
為替 | 円/ドル | 108.97 | 109.21 | -0.24 |
NYダウ | ドル | 33,896.04 | 34,060.66 | -164.62 |
今日の東京株式市場は、小幅反発となりました。一時下げ幅を広げる場面もありましたが、半導体関連株の一角が堅調で、これが支えとなり28000円台を維持して終了しました。東京エレクトロンとアドバンテストの2銘柄で日経平均を56円押し上げています。
資金繰り支援による倒産減少の副作用
4月中旬、東京商工リサーチ(TSR)社で、4月1日~12日にかけて実施したインターネットによるアンケートで、自社債務の状況について「過剰感がある」と回答した中小企業が35.0%に上ったとのことです。
さて、今は5月となり、度重なる緊急事態宣言で外出自粛の意識が薄れ、米国や中国経済が復調し製造業を中心に景況感が上向いています。個人消費も最悪期は脱したとの見方がありますが、コロナ禍で国内企業が負った傷はあまりにも深いですね。
2020年4月~21年3月の企業倒産(負債1000万円以上)は7163件で、30年ぶりに8000件を割り込んだそうです。2020年は新型コロナウイルス感染拡大で景気が冷え込んだが、政府や金融機関の資金繰り支援で企業倒産は2019年度(8631件)より17.0%減少しています。
これは、「実質無利子・無担保融資」(ゼロゼロ融資、3月末で受付終了)などの貸し付け型支援、「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール」や社会保険料の支払い猶予、納税猶予などリスケ・猶予型の支援は、劇的に企業の資金繰り緩和をもたらしました。その一方で、借入依存が債務膨張を招き、バランスシートを肥大化させているのです。
2020年前半はコロナの感染急拡大で経済活動は大きく制限され、「売り上げの崖」に直面した企業は少なくありません。こうした企業の破綻を防ぐ緊急避難策の資金繰り支援は大きな効果を発揮しましたが、その「副作用」も計り知れないと言われています。
過剰債務の実態めぐり検証方法で試行錯誤
TSR社では2020年夏から、コロナ禍の支援策がもたらす過剰債務が企業経営の大きな問題に浮上すると問題提起しているとのことです。これをさまざまな角度から検証するため、企業の資産売却、人員削減(リストラ)、ゼロゼロ融資や持続化給付金などのコロナ関連支援策の利用率などを定期的に調査しています。
過剰債務の調査結果は、飲食店がトップに
TSR社では、過剰債務の実態について、直接、企業にアンケートを実施したそうです。
8473社を調査した結果、「コロナ前から過剰感がある」が12.5%、「コロナ後に過剰となった」が20.0%で、合計32.5%が「過剰債務」と回答したそうです。
業種別では、飲食店の79.4%、飲食料品小売業の78.5%、洗濯・理容・美容・浴場業の78.5%が「過剰債務」と回答、いずれも個人消費者を対象として業種で、外出自粛の影響を色濃く受けており、資金繰り支援の利用率も高いそうです。
回答結果を中小企業である7327社に絞ると、「コロナ前から過剰感がある」は13.2%、「コロナ後に過剰となった」は21.8%で、合計35.0%に達します。3社に1社が「過剰債務」という実態が浮き彫りになっっています。
先日、企業倒産が増加に転じるという記事を掲載しましたが、上述のような背景があるようです。日本政府も当然、これらを予測しているでしょうから、先延ばしの支援は考えていると思いますが。
それに反して、5月中旬で決算発表が出そろっていますが、新型コロナウイルスの影響が長期化する中、最終的な損益が「増益」の企業が50%あったようです。このコロナ禍で、一般の方の閉塞感は大きいと思いますので、ワクチン接種が普及し、集団免疫達成された後の消費行動は大いに期待できるのではないでしょうか?
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