本日のマーケット
5月 18日(火) | 前日終値 | 増減 | ||
日経平均 | 円 | 28,406.84 | 27,824.83 | 582.01 |
為替 | 円/ドル | 109.03 | 109.19 | -0.16 |
NYダウ | ドル | 34,327.79 | 34,382.13 | -54.34 |
今日の東京株式市場は、一時600円高、引けでも580円高の大幅反発となりました。82%の銘柄が上昇。買戻しの動きとの見方です。これから日本でもワクチン接種が進んでいくという状況がどのように影響してくるか楽しみです。
企業倒産の増加傾向が明確になるのは8月以降?
帝国データバンクが5月13日に発表した2021年4月の全国企業倒産(法的整理による倒産、負債1000万円以上)は、前年同月比35.5%減の489で、2020年8月以降9カ月連続で前年同月を下回ったそうです。今後もコロナ対策の中小企業向け各種支援策によって倒産は抑制され続けると考える人は多いかもしれませんが、5月以降の倒産は増加基調に転じる可能性が極めて高くなっているといいます。
その理由のひとつは、各種支援策によって昨年5月以降の倒産が大きく抑制されてきたことにあります。なかでも昨年5月は国内初の緊急事態宣言発出に伴い倒産手続きに不可欠な弁護士事務所、裁判所の業務までもが大幅に縮小され、先延ばしとなってしまう案件が多数発生する異例の事態となったとのことです。
その結果、昨年5月の倒産件数は単月として、2000年以降で最少となる288件(2020年5月は648件)を記録したそうです。現在、3度目の緊急事態宣言下ではあるものの、全国的な発出ではないことや弁護士事務所や裁判所において、昨年と同じような業務縮小の動きが見られないことから、昨年5月の288件を下回る可能性は極めて低いとみています。
昨年5月が288件にまで減少した反動で、続く6月、7月は一けた台の前年比増加となりました。しかし8月以降は緊急融資をはじめとする各種支援策の執行・浸透によって前年を下回る月が続くとともに、減少幅が徐々に拡大。今年2月は前年同月比30.3%減、4月には35.5%減となっています。
以上のことから、今後は、まず5月に前年比増加に転じ、8月以降に増加傾向がはっきりと表れてくると予想ができるそうです。「倒産が増加しはじめる」というよりは、「引き延ばされた倒産が当初の予定通り実行される」と言った方が適切かもしれないです。
38兆円の緊急融資で資金繰りに困らない企業が急増?
これまで民間金融機関、日本政策金融公庫、商工中金によって執行されたコロナ対策の緊急融資は216万5091件、総額38兆円超になります(5月10日現在公表数値)。コロナの影響については、飲食店やアパレル小売店など大打撃を受けている業種がクローズアップされているが、全業種でみると緊急融資はかなり広範囲の事業者に資金繰りの余裕をもたらしているようです。
帝国データバンクが実施した2021年3月時点の資金繰りアンケートにおいては、資金繰りが「楽である」と答えた企業が全体の43.2%を占めて最多となったそうです。それ以外の回答は「どちらでもない」が40.6%、「苦しい」(13.6%)、「わからない」(2.7%)となり、「わからない」を含めると全体の86.4%が資金繰りについて苦しいと感じていないこととなります。
コロナ禍で業績低迷が続き、回復の見通しも立っていない企業は多数存在します。しかし、それに反して緊急融資や協力金、支援金などで手元資金が潤沢になる企業が増えていくいびつな現象が起きているそうです。
倒産減少の水面下で増加する倒産予備軍
昨年以降の倒産減少は、好況や景気回復を要因としたものではなく、支援策によって免れた結果です。そして、こうした状況下でこそ水面下で倒産予備軍が増加していることが容易に想像できます。 例えば、民間金融機関を窓口としたコロナ対策の緊急融資の執行は2020年の5月、6月、7月に集中しています。そして融資を受けた企業の過半数が据置期間(融資実行から返済開始までの猶予期間)を1年以内に設定していますので、緊急融資を受けた大半の企業は、既に返済がはじまっているか、少なくとも5月~7月に返済がはじまる状況になっていることが推測できます。
しかし、収束の兆しが見えない今の状況で返済が始まれば支援策を受けていた企業にとって返済開始は大きな負担となり、経営をひっ迫させることになるは明らかです。返済が困難であることを金融機関に相談すれば、特別な事情がない限り返済時期の調整に応じてくれるケースもあるでしょうけど、実際は、予定通り返済できない、見通しが立たないことを理由に事業停止、法的整理に踏み切るケースは一定数出るとみれます。
昨年から今年半ばにかけて倒産は緊急融資で大きく抑制されました。では、緊急融資の返済が開始となる今年半ばから来年にかけてはどうなるでしょうか。コロナが企業に与える本当の恐ろしさが表面化するのは、これからなのかもしれません。
ワクチン接種が進んで、集団免疫が達成され経済が回復するのが早いか、資金繰りに窮して倒産が増加するのが早いか?まさにワクチン接種のスピード感は企業の生死に直結する課題になっているものと考えます。
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