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退職金の受け取り方、正解へ導く5つの法則

お金の勉強
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本日のマーケット

  4月 2日(金)前日終値増減
日経平均29,854.0029,388.87465.13
為替円/ドル110.50110.60-0.10
NYダウドル33,153.2132,981.55171.66

 今日の東京株式市場は、続伸しました。新年度2日連続で好調。米国NASDAQの動きに影響され、日経平均が非常に強い動きとなりました。バイデン大統領の演説の中で先端産業に対する支援策が盛り込まれており、そのおかげでニューヨークでも半導体関連が強く、その流れが東京にも来ています。

退職金は「一時金」と「年金」を組み合わせて受け取れる!

 以前、退職金は「一時金」で受け取るのがお得ですと老後の段取りの記事の中で紹介させていただきましたが、お得かつご自身にあった受け取り方を考えるための法則(下記書籍より)を改めて紹介させていただきますので参考にしていただければと思います。

まだ間に合う!50代からの老後のお金のつくり方 [ 深田晶恵 ]

 会社員の退職金の受け取り方法は、「一時金のみ」「一時金+一部を年金」「すべて年金」など幾つかのパターンがあり、制度内容や選択の自由度は勤務先によって異なります。

 日本経済団体連合会、東京経営者協会の「退職金・年金に関する実態調査」(2018年9月度)には、「一時金と年金の併用」の企業が72.1%、「一時金のみ」が10.9%、「年金のみ」は13.0%とあります。一時金と年金の組み合わせを採用している企業は意外に多いです。退職金を年金で受け取ると、勤務先または企業年金が運用しながら支払ってくれるため、額面の受け取り総額は年金として受け取った方が多くなります。そのため「せっかくだから、受け取り額の多い方を選ぶ」と考える人が多くなるのではないかと思います。

 しかし、年金から差し引かれる社会保険料は年々増加していますし、年金生活者にとって打撃となる増税も実施されているため、年金の手取り額は減り続けているのも事実です。

受け取り方法3パターンでどれが一番お得になるでしょうか?

 以下の前提条件で①全額一時金のみ、②全額10年確定年金、③一時金と10年確定年金を半分ずつのケースで比較してみました。

<前提条件>
 ・退職金2000万円、年金受け取りした場合の運用利率は2%と仮定
 ・60~64歳は再雇用で働き、給与年収は350万円
 ・65歳からは公的年金220万円の受給開始する東京23区在住の人

<比較結果>
 1)額面収入:①4,850万円、②5,060万円、③4,950万円

 額面収入は、当然ですが、②の全額年金受け取りが最も多くなります。全額一時金受取と比較するとその差は210万円にもなるのです。

 2)手取り収入:①4,395万円、②4,265万円、③4,330万円

 手取り収入では、①の全額一時金受取が、1位となります。年金受け取りが優位とならないのは、年金収入が増えると税金や社会保険料の負担も増えるからです。

 なお、自治体によって国民健康保険料や介護保険料が異なるため、手取り額はどこに住んでいるのかによっても金額が変わりますのでご注意ください。試算は前提条件に基づいた一例だが、手取りの順位はどこに住んでいたとしても大きく変わることはないと思います。

退職金をお得に受け取る方法(1)一時金受取は、税金がお得かつ社会保険料がかからないので有利

 退職金を一時金で受け取ると、勤続年数に応じて一定の「退職所得控除」という非課税の枠があり、勤続38年だと退職所得控除は2060万円にもなります。これは、分離課税といって、その年の他の所得と合算して課税されないのでありがたいですね。総合課税になると給与と合算されるので所得税の税率が上がってしまいます。さらに退職所得には社会保険料がかからないのも大きなメリットです。

退職金をお得に受け取る方法(2)年金受け取りに「終身」の選択肢があるならば、長生きリスク対策になります。

 受け取り方法の選択肢は企業によって異なりますが、年金を「終身」で受け取る選択肢があるなら、長生き対策として活用するのが良いと思います。企業年金の全額が「終身」という会社は少なく、年金原資を「10年確定年金」「15年確定年金」「終身年金」の中から組み合わせて選ぶようになっているケースが多いですが。ただし、同じ年金原資額なら1年当たりの年金額は、10年確定年金が最も多くなり、終身受け取りが最も少なくなります。年金収入が増えると、税金と社会保険料の負担が増え(特に社会保険料)、額面収入に対する「手取り率」は減少します。手取り率を少しでもアップさせるには、企業年金は「長い期間」で「1年当たりの金額は少なく」受け取るのがコツですね。

退職金をお得に受け取る方法(3)年金受け取りをする期間は、できる限り社会保険に加入して働くことをお薦めします。

 企業年金を受け取りながら社会保険(厚生年金と健康保険)に加入して働くと、年金収入には国民健康保険料はかからないため、年金の手取り率はアップします。健康保険料は給与収入にだけかかり、さらに保険料は労使折半のため自治体の国民健康保険料よりも負担が少なくなるのです。

 企業年金の受け取り開始時期を「60歳」か「65歳」で選択できるなら、60歳スタートがいいです。再雇用で働く期間とダブらせる方がお得です。企業年金が高額になって社会保険料が多くなってしまう人は、60歳歳以降の再雇用は断って、社会保険に加入して年収は150万円くらいで働くことをお薦めします。なぜなら、社会保険料は給与収入の150万円に対してだけしかかからないのです。年収150万円の社会保険料は少額なので、結果として手取り率は大幅にアップします。

退職金をお得に受け取る方法(4)勤務先のDCやiDeco、個人年金は受取時期が集中しないよう調整しましょう。 

 年金が多くなる分「手取り率」は減少します。公的年金の他に勤務先のDC(確定拠出年金)やiDeco(個人型確定拠出年金)や保険会社の個人年金があるならば、それらも考慮して受け取り方法を調整する必要があります。受け取り時期が集中すると、年金収入が多くなり不利となります。特に65歳のリタイア後に年金額が多くなると国民健康保険料・介護保険料の負担が重くなりますので、DCや個人年金は再雇用で働く60代前半に受け取りをスタートさせるのも選択のひとつです。

退職金をお得に受け取る方法(5)支出のコントロールが苦手ならば、躊躇せず「年金受け取り」を選択です。

 退職金はできる限り「一時金」で受け取るのが有利となりますが、実はそれに向かない人もいます。それは「無駄遣いが過ぎる人」や「計画的にお金を使うのが苦手な人」です。

 60歳以降に再雇用で働いても、「収入ダウンの崖」があるため、給与収入は大きく減少します。定年までの生活水準が高い人は大きな支出削減に取り組まねばなりませんが、それまで支出が多かった人は、そもそもコントロールができていないので実現が難しいケースが多いです。そんなとき、退職一時金としてまとまったお金が入ってくると、ついつい日々の生活費の赤字補てんに使ってしまうため、老後資金を大きく減らしてしまう可能性が高いので要注意です。
 また、一時金を投資で増やそうと考えている人も要注意です。何の勉強も経験も積まずに一千万円からの資金を株式や不動産に突っ込むと、景気後退などでマイナスが膨らんだ瞬間に我慢できずにパニック売りをしてしまうからです。マイナスが膨らんだ時のリスク許容度がないとパニックに陥ってしまうものですので、自分は大丈夫だと思っていても退職金を溶かしている諸先輩方は数多くいます。投資の世界には、その道のプロたちがネギカモを手を広げて待っています。資産運用のセミナーも気をつけましょう。特に無料となっているのはやばいです。

 一時金受け取りをして得した気分になったとしても、無駄遣いでお金を減らしてしまったり、不慣れな投資で溶かしてしまったら本末転倒です。支出コントロールが苦手だという自覚がある人は、損得を考えずに年金受け取りを選択するのが無難ですね。

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