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早期リタイア「FIRE」とは? 若者とおじさん

早期退職
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引退後の「経済的自立」をめぐる若者とおじさんの共通点

 経済的に自立し、早期リタイアを実現するFIRE(ファイア:Financial Independence, Retire Early)」が若者を中心にムーブメントとなっている。早期リタイアには多額の貯金が必要なイメージを持つ人も多いだろうが、FIREはだれでも目指すことができる概念として脚光を浴びている。

 一方で中高年は引退したくてもできず、70歳まで働き続ける時代になりそうです。若者もおじさんも、早く引退したい本音は一緒ですね。違うようで実は共通点の多い、若者のFIREとおじさんの引退について探ることで、現代日本でサラリーマンを卒業するための近道が見えてくるのではないか?そんな思いをお伝えしたいです。

若者もおじさんも早く引退したくてたまらない?

 いよいよ70歳まで働き続けなければならない時代になりそうです。すでに65歳までの雇用継続は企業の義務、今年4月には70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となります。「働くシニアの後押し」と言えば聞こえはいいが、年金支給開始年齢の引き上げや、医療費負担の引き上げ検討なども進んでおり、「国はおじさんをもっと働かせ、より厚生年金を払わせたがっている」と捉えているおじさんも少なくないでしょう。
 こうした中、「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」と呼ばれる生き方が、若者を中心に注目を集めており、話題に上り始めています。定年を待たないで、なるべく早期にサラリーマン生活を終わりにして、資産運用などを中心におく生活を目指すライフプランです。
 数年前から米国、そして欧州へと広がりを見せたFIREは全世界に拡大し、日本でも実践しようとする人が増えています。特に2020年はコロナ禍の影響もあって、職場や通勤から距離を置きたい人が増えており、FIREへの憧れと注目度が一気に上昇しました。
 ところで、今や70歳まで働くおじさんの退職事情と早期に引退するFIREですが、この二つは一見、両極端のようにも映るが、さまざまな共通点があるのです。
 むしろ、現代のおじさんが引退を迎えるには、若者が目指すFIREを参考にするべきでしょうし、FIREを目指す若者ほど将来、安定したシニアライフを送れるかもしれないです。そんなお話です。

●若者に支持されるFIREの特徴とは?

 これまでも早期にサラリーマンを「卒業」する人は少なからずいましたが、それは、億を超えるようなかなり巨額の資産を手にしてからの引退といった印象ではないでしょうか。たとえば、1000万分の1の確率の宝くじ高額当選者はほとんどが退職するそうですが、そんなイメージです。宝くじをあてにしていたら再現性は全くないですが(宝くじ当選者は多くの確率で破産しているとのデータもあるようですし)。でも今回お話しするFIREはそうではありません。
 FIREは、リタイアする前も後も、主に投資などの資産運用を主軸にしてライフプランを立てています。リタイア後は当然資産運用を中心に生活費を捻出していきますが、皆さんがイメージされているような億を超える資産ではなく、比較的少ない資産でリタイアに踏み切る点です。
 FIRE発祥の地とも言える米国では、FIRE開始時の資産額を「年間支出の25倍」とすることが指標になっているといいます。これは「今の年収の25倍」ではなく、ギリギリ生活できるレベルに節約しての「年間支出の25倍」と考えいるようです。ただし、生活レベルを落とすのではなく、満足度はそのままで、格安スマホを使うとか、保険の契約を見直すとか、住居や自動車にかかる支出を見直して固定費を削減して達成させるようです。食費や光熱費をケチってたら生活の満足度まで下がってしまうので長く続かないです。
 そして、その支出額については、「4%ルール」という指標もあります。生活費が投資元本の4%以内ならば、資産を減らさずに生活していけるという考え方です。例えば投資元本が5000万あれば、4%の200万円で生活するということです。5000万円をS&P500などの投資信託で運用すれば5%近くの運用益が入りますのでその運用益だけで生活する言ったイメージです。
 三菱ケミカルの早期退職では、割増金が50か月分とのことですので通常の退職金と合わせて5000万円が支給される皮算用なので、生活費を抑制できている人ならば、「あがり」ですよね。更にこの先年金が支給されるので、それを組み入れればもっと豊かなリタイヤ生活になります。

●若者のFIREとおじさん早期退職の4つの共通点、重要なのはどちらも「節約」

 FIREとおじさんの引退の共通点は、以下の4点が挙げられる。

 1.おじさんも過去ほど裕福でなく、どちらも節約が重要なこと
  2.おじさんも資産運用で老後資金を得ていること
  3.おじさんと若者FIREどちらにも「早く引退したい」ニーズがあること
  4.おじさんと若者FIREどちらも完全に引退するわけではないこと

 まず、「どちらも節約が重要」という話ですが、私はこの節約というマイナスをイメージさせる言葉は好きではありません。あくまでも論理的に生活費を効率化させるという考え方で捉えていただければと思います。
 2019年に出てきた、いわゆる「2000万円問題」が記憶に新しいですが、現在のおじさんは裕福どころか、厚生労働省の試算上は、年金だけでは余生を送るために2000万円足りないと言われていますよね。そのため定年前にもなるべく生活費を抑えて貯蓄に回し、定年後も生活レベルを上げずに地味に暮らす必要があるのは、FIREの実践を目指す若者と同じ構図ですね。
 また、おじさんの生活でも若者のFIREでも、いわゆる「資産運用」が生活資金の源泉となる点も共通しています。おじさんの生活資金となる公的年金は、公的な制度で運用され、強制加入のうえ「給付」されており、さらに現役世代の保険料と国庫負担で賄っています。
 そのため一般的には「資産運用」とは思われていないが、保険料の納付期間が年金の額を左右するという意味では、長期積み立てによる資産運用に近いとも言えますね。

●若者もおじさんも仕事を柔軟に捉えれば引退できる?

 次に、当たり前かもしれないが、中高年もFIREを目指す人も、どちらも「早く引退したい」と思っている点が共通しています。
 中高年の中には、できる限り働き続けたいという人も増えてはいますが、私も含め、経済事情が許せば引退したいという人も多いです。働き続けるにしても、これまでとは働き方を変えたいと思っているおじさんがかなりの数となります。
 深刻度としては、FIREを目指す人よりもおじさんのほうが、身体のあちこちにガタがきているので余命や健康を気にする分、重いのかもしれません。役職定年、再雇用などサラリーマンとしての給与も下がりこそすれ上げるのは難しいため、貯金も一気には貯まらないでしょう。
 そのため、思考回路を停止させ早期退職をあきらめてしまっている人が意外に多いです。こういうおじさんが「働かない残念なおじさん」になっていくのです。会社にしがみついてOUTPUTが出せないで若者より多い給料をもらっていく。「働かない残念なおじさん」からしたら既得権益のようなものだから手放さないですよね。でも社会情勢、会社の業績次第で一番最初に狙われる立場であることは理解しておいたほうがよいですよね。そのためには、実際に早期退職するかは別として、しっかりとリタイアの計画を立て、本気でFIREを勉強し、実行を目指す取り組みを検討し始めることをお薦めします。

●「仕事を引退したい」と言っても、おじさんも若者FIREも引退したいのはサラリーマンであって、労働をすべて否定していない。

 また、おじさん早期退職とFIREどちらも、完全に引退するとは限らないという共通点があります。おじさんの場合は、いったん、サラリーマン退職などの区切りをつけた上で、定年前とは違った仕事や働き方を希望することが少なくありません。
 働く動機として「健康のため」「社会貢献のため」「社会とのつながりのため」といったものを挙げるおじさんも多く、その場合はサラリーマン退職前とは違った無理のない働き方が希望されるものです。基本的に65歳からは公的年金も支給されるので、それまでの生活費と65歳以降の不足分を賄える収入があれば十分という考え方になりますよね。
 若者FIREの実践者も、まったく仕事に就かず資産運用だけで生活していくわけではなさそうです。むしろ、FIREが本当にやりたいことに絞った仕事に取り組むための手段と考える人が多いのだと思います。また、おじさん退職の場合と同様に、必要最低限の仕事だけをする、お金が必要になった時だけ働くといった働き方をすることで、引退時までに準備する資金の額を減らすことができ、出費がかさんだ時の安心材料にもなりますね。生活費への負荷を軽くすることもできるかもしれません。
 どちらの立場も、働くことに対して柔軟になることで、引退もまた、ハードルが低く、早期に実現できるものとなる。

●FIREの考え方を学び実践することが老後対策にもなる

 FIREを目指している若い世代にも、おじさんの引退の状況は大きな教訓となるでしょう。いまや、60代となっても大多数がすんなり引退できる時代ではなく、FIREとあまり変わらないような引退への努力が必要となっています。逆にFIREを実現できれば、それだけで老後への対策にもなります。
 また、仕事の没頭していてFIREへの準備が遅れてしまったり、進まなかったりして、40代後半以降になってしまった方や、50代でリストラに手を挙げるなどした方たちも、老後対策をも見据えた形でFIREの準備を進めてみてはいかがでしょうか。老後対策だと考えて働く年数を伸ばせば、必要な資産の額も少なくなり、準備期間も伸びる。FIREへの準備もムダにならない。早期退職募集に手を挙げ、退職金を得た方は、資産運用に慣れながら資産を増やすことで、ちょっと遅めでも経済的自立を伴うリタイアが実現できるでしょう。ただし、いきなり手にした大金で投資しようとするとかなり高い確率で溶かすことになるので、現役時代から積み立てNISAなどをやって資産運用の訓練はしておいたほうが良いですよ。
 現在のFIREを取り入れて実践しているのはまだ若い世代中心ですが、今後はおじさん世代にも、FIREのようなマインドとアクションが必要な時代へとなっていきますね。

最後に日本でのFIREブームの火付け役となった書籍をご紹介します。

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